嫌われ者に恋をしました
隼人が緊張するなんてとても思えなくて、雪菜は驚いて見上げた。
「まあ、でも横になったらすぐに寝ちゃうかもね。今日はすごく疲れただろ?」
「……はい」
確かにそうかもしれない。もう夜も遅いし。
「じゃあ電気消すから。ベッド入って」
雪菜は恐る恐るベッドに腰をかけた。ベッドはとても柔らかくて心地良さそうだった。
「いい?消すよ?」
「はい」
パッと目の前が暗くなった。まだ暗闇に慣れないから何も見えない。
どこが枕なのかわからなくなってしまった。言われた通りちゃんと布団に入ってしまうべきだった。
手の平でそっと布団をなぞって、掛け布団の端と枕の位置を確認しながら中に入ると、布団からふわっといい香りがした。課長に抱き締められた時の香りだ……。煙草の匂いの他にしたすごくいい香り。シャンプーもボディーソープもこの香りではなかった。何か付けているのかな。
ぎこちない動きで仰向けになると、ギシッとベッドに重みが加わって横に傾いだのを感じてドキッとした。課長も入ってきたんだ。それにしてもこのベッドも大きい。二人で入っても体が触れないもの。