嫌われ者に恋をしました
近くのコンビニで適当にいろいろと買い込んで戻った。まだ寝てるかな、と思い静かに玄関の扉を開けると、雪菜が廊下の真ん中で立ち尽くしていた。
「あ、起きたんだ?おはよう」
朝からその長い脚を目にして嬉しくなった。煙草への渇望は一気に吹き飛ばされた。
「おはようございます」
つぶやくようにそう言うと雪菜は裸足でひたひたと駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
「探してしまいました」
「起きたら俺がいなかったから?」
「はい」
「寂しくなった?」
「……はい」
うつむいてそう言った雪菜がかわいくて、手を握った。
「ごめん、起こしたら悪いと思ってさ。何がいいのかわからなかったから、適当に買ってきたよ」
「ありがとうございます」
雪菜は言葉遣いこそ堅かったが、手を引くと纏わりつくようにそばについて来た。朝起きて俺がいなかったから、本当に寂しかったのかもしれない。俺だって雪菜が起きる瞬間を見たかった。