嫌われ者に恋をしました
聞き慣れないチャイムの音が鳴って、雪菜は顔を上げた。この営業所では昼休憩を知らせるチャイムを鳴らすようだ。
もうお昼?あっという間に時間が過ぎてしまった。でも、伝票の確認はほぼ終わった。午後は残りの伝票を確認して、備品台帳を確認しよう。このペースなら問題なく終了できそう。
「あと、どのくらい?」
隼人が雪菜の手元の資料を見ながら話しかけてきた。
「あとは3月分の伝票を確認して、備品台帳に移ります」
「じゃあ、備品台帳は一緒に確認しよう。物も確認しないといけないから二人でやった方が早いよ。その後金庫の確認も一緒にいい?」
「はい」
「このペースなら4時には終わりそうだな」
雪菜はうなずいた。
少し離れた机で資料を見ていた柴崎課長が伸びをして言った。
「飯、行こうよ」
昼は4人で近くの蕎麦屋に行った。あれこれ喋りながらズルズルと蕎麦をすする柴崎課長を横目で見ながら、雪菜は急いで蕎麦を食べた。
人と食べるのは、なんだか落ち着かない。雪菜は柴崎課長と永井のくだらない話にじっと耐え、お昼の時間をなんとかやり過ごした。