嫌われ者に恋をしました
朝になって玄関先まで迎えに来てくれた隼人はまた一段とかっこよくて、雪菜はつい見蕩れてしまった。
「おはようございます。課……隼人さん」
隼人は黙って玄関から一歩中に入って扉を閉めると、ぎゅうっと雪菜を抱き締めた。
「鯖折りって言ったよね?」
「ま、まだ課長とは言っていません!」
「言いそうだったから、同じことだよ」
「うう……」
「それにかわいかったからつい、ね」
隼人は微笑んで雪菜を覗き込んだ。
「じゃあ、行こうか?」
「はい」
「荷物それだけ?」
「ああ、えっと、……後で取りに来てもいいですか?」
「まだ準備してないの?」
「いえ、少し大きなバッグになってしまって。持ち歩くのは大変なので」
「車の後ろに乗せておけばいいよ」
そっか、車に乗せておけるんだ。
お泊まりと事前に決まっていたから、お泊まり用のバッグは用意していた。でも、前もって準備したらたくさん物を入れてしまってバッグが少し大きくなってしまい、持ち歩くのは大変だなと思っていた。
「じゃあ、持ってきます」
雪菜は部屋から用意していたバッグを持ってきた。
「そんなに大きなカバン?休み中ずっとうちにいてくれんの?」
「え?い、いえ。そんなにご厄介になるわけには……」
「いてくれるんなら、俺は嬉しいけどね」
「……」
冗談なのかな?本気なのかな?私は……少し怖いけど、でもできることならそばにいたい。