嫌われ者に恋をしました

 水族館にはあっという間についてしまった。

 車に乗っている間はいろんな話をして、すごく楽しくて、昨日電話であんなに話をしたのにどうして話題が尽きないのか不思議になるくらい話し足りなかった。

 今まで毎日会社で顔を合わせていたのに、こんなに話をできるなんて、思いもしなかった。本当に不思議。

 車から降りるとブワッと熱気を感じた。太陽はギラギラ眩しくて、隼人に言われた通り屋内の水族館に連れて来てもらって良かった、と雪菜は痛感した。

 入場券売り場に近づくと、大勢の人がぞろぞろと同じ方向に流れているのが見えた。あまりの人の多さに雪菜は驚いた。

「はぐれるといけないから」

 驚いて怖気づく雪菜に気がついたのか、隼人はそう言うと雪菜の手を握った。手を繋いだ瞬間嬉しくて、見上げたら微笑む隼人と目が合って、またキュウッと胸に痛みを感じて、雪菜ははにかんでうつむいた。

 入場券を係の人に見せる所でいったん手を離すと、またすぐに隼人の手が迎えに来てくれて手を繋いだ。そんなことの一つ一つが雪菜は嬉しくてたまらなかった。
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