嫌われ者に恋をしました
(7)幸せの時間
水族館に併設されたレストランはものすごく混んでいたから、移動して別の所で食事をとった。
「本当はドライブに連れて行ってあげたいんだけど」と隼人は言っていたが、道がびっくりするほど混んでいたから「今日は無理ですね」という話になった。
お盆休みに外に出ることなんて、今までほとんどなかった。いつも家にいて、片付けをしたり料理したり本を読んだりして過ごしていた。ニュースを見て、お盆休みの道路が混んでいることは知っていたが、本当にこんなに混んでいるとは思わなかった。水族館の混雑ぶりにも驚くばかりだった。
「水族館、また来たい?」
窓の外を見る雪菜に隼人が話しかけた。
「はい」
雪菜が隼人を見て笑顔でうなずくと、隼人も微笑んだ。
「じゃあ、今度は違う水族館に行こうか?あ、動物園でもいいけどね」
「はい」
「他にはどこに行きたい?」
「えっと、……隼人さんはどこに行きたいですか?」
「雪菜の行きたいとこ」
「そんなのズルいです」
「ズルくないよ、本当のことだから」
本当はどこに行きたいんだろう。そんなことを思いながら雪菜は答えた。