嫌われ者に恋をしました
今日は第一月曜日。月に一度の経理課定例会がある。内容はきっと決算について。雪菜はそう思いながら、手帳を片手に、みんなに続いてぞろぞろと会議室へ向かった。
経理課の4月は忙しい。5月上旬には決算関連の書類を全て税理士に確認してもらうから、それまでには決算をまとめなければならない。
みんなで会議室の長机をロの字に並べて席に着くと、普段は定例会に出席しない監査課長が後から入ってきて席に着いたから、室内は少しざわついた。
その空気を割るように経理課長の片倉がよく通る声で「じゃあ始めるぞ」と言うと、一応みんな静まり、いつも通り先月の報告から議事は進んだ。
「前年度分の各部署からの提出期限には気をつけるように。部課長会でも周知しているし、社内掲示板でも提示しているから『知らない』なんて言わせるな。中には3月の請求書を平気で5月に出してくる迷惑な部署もあるから、そういう部署は部課長会で報告をする。コンプライアンス重視を打ち出している我が社としては、そういうルーズなやり方は根本的に改善する方針だから、厳しく対応するように」
まあ、そんな内容だとは思った。未だルーズで古い体質から抜けられない部署は多く、対応が厳しい経理課はお堅い、と風当たりは強い。