嫌われ者に恋をしました

 肌と肌が重なって、温かい皮膚の感触を全身で感じた。

 顔や肩を撫でる髪がくすぐったい。全てが愛しくて、雪菜はその広い背中に手を回した。

 あんなに怖がっていたことが嘘のように幸せでたまらない。

 こんなに嬉しいことだったかな。一緒になっていることが、嬉しくて嬉しくてたまらない。こんなに幸せな気持ちを感じるなんて。

 嬉しくて幸せで涙がこぼれた。

 雪菜の涙に気がついて、隼人は頬を両手で挟んだ。

「痛い?」

「ううん、……嬉しいの」

 そう言って雪菜が抱きつくと隼人も強く抱き締めた。



 スーツの時は痩せて見えるのに、こうやって体重がかかるとすごく重い。苦しいけど、その重さも愛おしくてたまらない。

 隼人は体を起こすと雪菜をじっと見つめた。雪菜もぼんやり隼人を見つめると、隼人はフッと微笑んでチュッとキスをして体を離した。

 離れてしまって寂しいと思っていたら、隼人はすぐに戻ってきて雪菜をそっと抱き締めた。そして雪菜の髪を撫でながら、ずっと腕の中に閉じ込めていた。

 隼人の腕の中は心地良くて、髪を撫でられるのも心地良くて、幸せでたまらない気持ちになった。
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