嫌われ者に恋をしました
(8)雪菜
突然雪菜はフッと眠ってしまった。疲れたのかもしれない。少し無理をさせてしまっただろうか。
痛いことが嫌なんて、当たり前のことを雪菜は言っていた。普通、痛いことなんかしないだろ。いったい瀬川に何をされていたんだろう。でも、内容を聞いたらはらわたが煮えくり返るから絶対に聞かない。
俺が痛いことをすると思って怖がっていたんだろうか。俺は痛いことなんかしないと何度でも教えてやる。
もしかしたら、すごく痛がる子なのかもしれないと思ってそっと触れたが、痛がる様子は全くなかった。普通に触れる分には痛くないし、怖くもないんだろう。
でも、普通になんて思いつつ、煽られて普通以上に頑張ってしまったかもしれない。
雪菜はそっと触れただけで敏感に反応を返してきて、たまらなくかわいかった。
俺に抱かれて嬉しいだなんて、そんなの愛おし過ぎて、いくら抱き締めても足りなかった。
腕の中で雪菜はぐっすり眠っている。そっと抱き締め直して目を閉じた。
あんなことになったのは初めてですなんて、あんな夢中になったかわいい雪菜を知っているのが俺だけで本当に良かった。瀬川があんな雪菜を知らなくて、本当に良かった。