嫌われ者に恋をしました
いつの間に眠ったんだろうか。目が覚めるともう明るかった。
腕の中に閉じ込めて眠ったはずなのに、雪菜は少し離れて背中を向けて眠っていた。細い肩が静かに上下している。
その時、ふと気がついた。背中に何か痕がある。そんなにたくさんではないが、小さな丸い火傷のような痕。色は他の肌色と変わらないが、よく見るとわかる。
隼人が雪菜の背中にそっと触れると、雪菜はもぞもぞと目を覚ました。そして、隼人が背中に触れていることに気がつくとハッとした。
「み、見ないで!」
雪菜は真っ青な顔をして、クルッとこちらを向いた。
「火傷?」
でも、雪菜が蒼白な顔をして震える様子を見て、違うと思った。
「どうしたの?雪菜」
そう言っても雪菜は小さく震えたまま動かない。
「こっちにおいで」
その言葉に反して、雪菜は怯えるように少し離れてしまった。
「そんなにそっちに行ったら落ちるよ」
隼人は大きく動いて無理やり雪菜を抱き寄せた。雪菜は隼人の腕の中でもまだ震えていた。
「どうしたの?怖いの?」
「……嫌いになる?」
「雪菜のことを?ならないよ」
「本当に?」
「本当だよ。どうして?雪菜を嫌いになるわけがないだろ」
「本当?」
「本当!」
隼人がそう言って強く抱き締めると、雪菜の体から少し力が抜けたようだった。