嫌われ者に恋をしました
「どうして嫌いになるなんて思ったの?」
「……こんな傷痕があったら、嫌われるんじゃないかと思って」
「そんなわけないだろ。それに傷痕って言っても、見た目は全然わかんないよ。だいたいね、もっとすごい傷痕があっても、嫌いになんてならないし」
雪菜が頭を胸に擦り付けて、しがみ付くように隼人に抱き付いたから、隼人もぎゅうっと抱き締めた。
「火傷したの?それとも怪我?」
雪菜は小さく震えるため息をついた。
「……煙草を……」
「え?」
「……煙草の火を、押し付けられて」
最初は何を言っているのかわからなかった。でも、雪菜の言葉の意味がだんだんわかってきて、ショックで目を大きく開いた。
雪菜を引き剥がして肩を掴むと、勢いよく聞いた。
「瀬川にやられたのかっ!」
「ち、違います」
「じゃあ、その前の男か?」
「そんな人、いません」
「じゃあ、誰だよ?」
雪菜は苦しげな瞳をしてため息をついた。
「……お母さんの、彼氏に」
「え?」
苦しげな瞳のまま、雪菜はフッと微笑んだ。
「もうずっと昔です。本当に子どもの頃。私が小学校1年生か2年生くらいの時です」
「そんな、ことって……」