嫌われ者に恋をしました

 困ったような顔する雪菜を見ながら、ごろんとうつ伏せにして、もう一度背中を見た。

 雪菜は抵抗せず、されるがまま大人しくしていた。

 そっと背中を撫でる。

 本当に痕なんてほとんどわからない。

 でも、煙草の痕と言われれば確かにそうも見える。

 すごく痛かったんじゃないのか。幼い雪菜がどんな思いで痛みに耐えていたのかを思うと、悲しくなって胸が痛んだ。

 傷痕にそっと口づけて体を起こした。

 このまま夢中になって右も左もわからなくなる前に、雪菜に伝えておきたいことがある。
< 226 / 409 >

この作品をシェア

pagetop