嫌われ者に恋をしました
「それにさ、雪菜は今まで助けてくれた人たちに迷惑をかけて申し訳ないと思ってるみたいだけど、そうじゃなくて、ありがとうって思えばいいんじゃない?」
「……え?」
よくわからなくて首を傾げた。
「雪菜が迷惑をかけたと思ってる雪菜を助けてくれた人たちは、雪菜のことが好きだから助けてくれたんだと思うよ。もちろん俺の好きには及ばないけど。
彼らは雪菜に迷惑をかけられたなんて思っていないと思う。まあ、本当に迷惑をかけてしまったらその時は謝ればいいし、助けてもらったら感謝すればいいと思うんだ」
その言葉を聞いて、しばらくぽーっとしてしまった。……そんな風に考えたことなかった。
迷惑をかけてしまったら、私のことをどれだけ怒っているのかが怖くて怖くて、その後は逃げるように、関わらないようにすることしか考えていなかった。
でも、隼人さんの言う通りかもしれない。助けてもらっておきながら、怒られるのが怖くて逃げていたなんて……。迷惑をかけたらまずは謝るべきだった。助けてもらったら感謝すべきだったんだ。そんなの、考えてみたら当たり前のことなのに、私の中からは完全に欠落していた。
隼人さんはもともとそういう考え方の人なのかもしれない。だから、あのコンビニにもお礼に行ったりしたんだ。
自分一人だったらお礼なんて、勇気がなくて絶対に行かなかった。むしろ、二度と近寄らなかったかもしれない。
でも、お礼に行って店長夫妻の笑顔を見たらスッキリした気がした。もしかしたら、それってすごく大事なことだったのかもしれない。
「それは、確かにそうですね」
「だろ?」
隼人は爽やかに笑った。