嫌われ者に恋をしました

「お母さんが死んだ時、初めて祖父母に会ったんです。親戚がいるなんて、最初は嬉しかったんですが……。その後お墓参りに行った時、偶然祖父母に会ったんです。その時『本当は借金を肩代わりしてやってるんだ』って言われて。『お前には迷惑をかけられてるから金を出せ』って……。お金なんかないと言って、なんとか断ったんですが……」

「そんな借金あったの?」

「いえ、たぶん……ないと思います。もし本当に借金があったら、一度断ったくらいで引き下がらないと思うので……」

「……なんか、ろくでもないね。本当に雪菜のおじいさんとおばあさんなの?」

「はい、それはたぶん間違いないと思います。でも、それ以来、あの人たちに会ったらと思うと怖くて……。あれから行っていません」

「そっか。じゃあ、今度一緒に行こうよ、墓参り。話ができるわけじゃないけどさ、けっこうスッキリするかもよ。もし親戚に会ったら俺が追い返してやるから」

 隼人に微笑まれて雪菜は胸が苦しくなった。この人は私を助けようとしているんだ……。そう思ったら鼻がツンとして、また涙が出そうになった。私、この人と出会えて本当に良かった。

「……はい。……隼人さん……、ありがとう」

 雪菜は隼人の肩にそっと抱き付いて、心の中でも深く感謝した。
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