嫌われ者に恋をしました
「どうする?」
「……はい。うかがいます」
隼人は少し考えてから雪菜をじっと見て言った。
「あとさ、事前に言っておくけど……、うちの母親と弟、すっげー無神経だから」
「え?」
「あまり発言に惑わされないように」
「は、はあ……」
無神経?どういうことだろう。発言に惑わされないようになんて……。どんなことを言われるんだろう。『こんな地味な子、やめなさい』とか?『きちんとした家柄の人と付き合いなさい』とか?
そんな……、どうしよう……。
「そういえば、明日あいつらいるのかな……。ちょっと電話してみる」
雪菜の不安など露知らず、隼人は雪菜を膝から降ろすと立ち上がり、テーブルから電話を取ってかけ始めた。ソファに一人置かれて寂しくなって、雪菜はますます不安になった。
「……あ、俺。明日いる?……あっそ。じゃあ明日寄るから。……昼前くらいかな。……え?いいからそんなの。じゃあね、はいはい」
電話を切ると、隼人は複雑な表情で雪菜をフッと見た。
「……失敗した」
「え?」
「雪菜のこと、秘密にして連れて行って驚かせようと思ったんだけど……。感付かれたかもしれない」
そんなっ!私のことなんてやっぱり秘密にしておかないといけない感じなんだ……。
「うちの母親、無神経なくせに妙に勘がよくってさ。いきなり『寿司でも用意しようか』って言われた……」
「……すごく緊張します」