嫌われ者に恋をしました
そういうこと?それとも、安心させるためにわざと言ってる?半信半疑ではあったが、雪菜は急に緊張の糸がプッツリ切れて、ため息をついてソファに深く背中を預けた。
「……少し安心しました。隼人さんの子どもの頃のお話なら、ぜひ聞きたいです」
「だめ。あいつらが何か言い始めたら俺、邪魔するから」
「そんな!私も隼人さんのこと、いろいろ知りたいです。子どもの頃の隼人さんのこと、今の隼人さんのこと、いろいろ」
「ふーん……。今の俺のことなら、いくらでも教えてあげるけどね」
そう言った隼人の瞳に突然野生が灯ったように見えて、雪菜は心臓がドクッと跳ねるのを感じた。
そういえば、今日はどうするんだろう。なんかこのままここにいる感じになっているけど、今日もまた泊まっちゃうのかな、私。また夜になったらあんなことを……。
そう思ったら、自分の声やら肌の感触やらを思い出してしまって、かあっと赤くなっていくのがわかった。
急に恥ずかしくなっておろおろしてしまい、雪菜は今日は帰ろうと思った。
「そういえば、えっと今日は帰ります……」
「え?なんで?」
「洗濯とかしたいし……」
「それだけ?」
「……」
もっと理由を考えてから言うべきだった。他に何も思いつかなかった。
「なら、うちの洗濯機使っていいから」
「い、いえ、そんな。いいです」
そう言われて雪菜は単純に、洗濯物を見られるなんて恥ずかしいと思っただけだったが、隼人はかなり真剣に見つめてきた。