嫌われ者に恋をしました

「一緒にいたくないの?俺は一緒にいたい」

「えっ……」

「それとも実家に連れて行くなんて言ったから引いた?」

 隼人は目をそらして自嘲するように言った。でも、雪菜はそんなことを言われるとは思わなくて、思わず首を傾げた。

「え?いえ、そんなことはありません」

「じゃあ、いいじゃん」

「……」

「……それとも抱かれたくないとか?嫌ならしないよ」

「えっと、そういうことではなくて……」

 隼人はまた真剣な瞳で見つめてきた。

「嫌なことは嫌って言ってほしいって言ったの忘れた?」

「嫌ということではなくて……その、ちょっと恥ずかしくなっただけなのです……」

 隼人は雪菜をじっと見つめたまま言った。

「……本当?」

「本当です」

「……じゃあ、今日も一緒にいてよ」

 そう言うと隼人は雪菜を抱き寄せた。そんな甘えた声で言われたら、すぐに落ちてしまう。普段は会社で冷静な課長をやっている人が、今は自分に猫みたいに甘えている。そう思ったらキュンとした。

 隼人の温かい肩に頬を寄せて目を閉じたら、帰ろうと思っていたことが嘘みたいに離れがたくなった。ずっとこうやって、くっついていたい。

「私も、一緒にいたいです……」

 小声でそう言うと、抱き締める隼人の腕に力が入った。
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