嫌われ者に恋をしました
夕食は近くの和食のファミレスに連れて行った。雪菜は初めて入ると言って、ファミレスなのにとても喜んでくれた。
作るのが面倒だったから連れて行っただけなのに、そんなに喜んでもらえるとは思わなかった。
監査の後、毎回食事に誘っていたから、隼人の知っているお店なんてすぐに尽きてしまい、実はいろんなお店を調べては誘っていた。
どのお店に連れて行っても雪菜の瞳は輝いて見えて、それがいつも嬉しくて、調べて連れて来た甲斐があったと思えた。
でも、まさかファミレスに連れて行っても同じ瞳が見られるとは……。雪菜は世間知らずだから、いろんなことが初めてで、当たり前のことでも目新しく感じるのかもしれない。
夕食を終えてから雪菜に、「帰りたい?」ともう一度聞いた。
隼人のズルい質問に、雪菜はうつむいたまま少し赤くなって恥ずかしそうに首を振ったから、隼人はその純真無垢なかわいさに撃ち抜かれた。
その余韻を引きずったまま迎えた夜は、どんなに体を密着させても足りないように思えた。
雪菜が愛おしくて、どこまでも深く抱き締めた。