嫌われ者に恋をしました

 雪菜が動いた気配を感じて目が覚めた。もう明るくなっていることはわかったが、なかなか意識がはっきりしない。でも、雪菜がじっと見ていることに気がついて、ハッと目が覚めた。

「もしかして、ずっと見てた?」

 雪菜は恥ずかしそうに小さくうなずくと、頬に触れてきた。まだ少しボーっとしていたからされるがままに触らせていたが、くすぐったくなって雪菜の手をバシッと握った。

「イタズラ書きなんてしてないだろうね?」

「えっ?イタズラ書き?しませんっ!そんな」

「瞼の上に目を書いたり、変なヒゲ書いたり、額に肉とか書いてない?」

 雪菜は珍しく声に出してふふっと笑った。

「そんなこと、しません」

「そう?野球部の合宿だと鉄板だったけどね」

「隼人さんもそんなことしてたんですか?」

「学生だったからね、もちろん今はしないけど……いや、わからないな。雪菜が寝てる間に何か書くかも」

「やだっ!そんな、やめてください」

「確約はできないな」

 クスクス笑って逃げる雪菜を捕まえてイチャイチャしていたら、昨日の朝と同じことになりそうな気がした。隼人は頭を振ってため息をつくと、「起きよっか」と言った。
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