嫌われ者に恋をしました
隼人と悠人がリビングに戻ると、雪菜が二人をじっと見たから、二人とも立ち止まった。
「似てますね」
「似てねーよ!」
「似てないよ~」
声が揃ってしまい、チッと思って悠人と顔を見合わせた。それを見て雪菜は微笑んだ。
「いえ、似ていますよ、とても」
「そうよ、似てんのよ!いっつも、似たような遊びばっかりして!小学校の時なんて、隼人も悠人もそろばん履いて遊んで、私が先生に怒られたんだから!」
「……そろばんを、履く?」
雪菜は全くわからないという感じで、首を傾げた。
「雪菜ちゃんはそんなこと、しなかったかもしれないね~」
「そろばんを足の裏に付けて、ローラースケートみたいに履くんだよ」
雪菜は唖然とした顔をしてから、にっこりと笑った。
「いたずらっ子だったんですね」
「いたずらっ子なんてもんじゃないわよ!悪ガキよ、悪ガキ!」
「そうですか……」
「もう、年子の男の子なんて手に負えなくて、ホント大変!」
「……年子には見えませんけどね」
悠人は飄々とした笑顔を雪菜に向けた。
「見えないよね~?俺が31なんてねっ」
「……はい」
隼人も若く見られるが、悠人はもっとずっと若く見られる。隼人は若く見られることを好まないが、悠人はもうずいぶん前に諦めて、むしろ若く見られることを有効活用して、女の子にうまく接近しているらしい。