嫌われ者に恋をしました

 リビングに戻ると、雪菜と悠人が楽しそうに話していた。

「雪菜、そろそろ帰ろう」

 雪菜はうなずくと隼人のもとへ駆け寄った。

「雪菜ちゃん、また遊びに来てね~」

「今度来た時は、中学のところからアルバム見ましょうね!」

「え?まだそこまでしか見てないの?」

「はい。まだ、野球部の時の写真まで辿り着いていないんです」

 雪菜は残念そうに言った。

「野球部って言ったって、進学校の野球部なんてお遊びだよ~」

「そんなことない!」

「進学校?」

 雪菜は首を傾げた。それを見て、母親と悠人はニンマリ嬉しそうな顔をした。

「雪菜ちゃん知らないんだ?この人、こう見えて意外と頭いいんだよ~」

「そ、そんな!意外ではありません……」

「じゃあ、今度遊びに来た時は、兄貴のこといろいろ教えてあげるね」

「お前は余計なことすんな!」

「ちなみに、さっき教えてあげたことは絶対に秘密だよ~」

「え?えっと、……はい」

「何だよ?」

「秘密だよ、ね~?」

 悠人に同意を求められて、雪菜は困ったようにうなずいた。
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