嫌われ者に恋をしました

 雪菜が薄れる理性をギリギリ保って声を我慢していたら、「どうしてそんなに声、我慢するの?」と隼人が聞いてきた。

「壁、薄いから……、聞こえちゃう」

「ふーん、なるほどね。俺は聞きたいけど……」

 隼人はそう言ってじっと見つめてきた。

「……気持ちいいならそう言って」

「!」

 そんなの言葉にするなんて、ハードルが高い……。

「そん、なの……いえない」

「言ってくれないの?」

 そんな寂しそうな顔をして見せるなんて、意地悪。

「……いじわる、しないで」

「意地悪じゃないよ。言葉にして言ってほしいだけ」

 私が気持ちいいことわかってるくせに。
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