嫌われ者に恋をしました

「瀬川さんのことが忘れられないわけではありません。正直なところ、瀬川さんのことなんてどうでもいいんです。
 今の私は、隼人さんのことが大好きで、隼人さんのことしか考えてなくて、隼人さんのことを誰よりもただ一人愛してます」

「……うん」

「それをわかってほしいのです」

「うん、……わかってる」

 隼人は雪菜に覆い被さると強く抱き締めた。

 雪菜を抱き締めたまま、隼人はごろごろと左右に体を振り始めた。

「……どうしたんですか?」

「己の器の狭さに悶えてる」

「そんなことは……」

「前にもこんな会話をした気がする……。それに、今まで雪菜の生きていた全てを愛してる、なんて言っておきながら、やっぱり瀬川のことが面白くないなんて」
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