嫌われ者に恋をしました
雪菜は少し不安になった。
「……瀬川さんとの過去は、受け入れられませんか?」
「そうじゃない!雪菜の全部を愛してる。……なんて言ったらいいんだろう。この家には瀬川しか来たことなかったんだろ?でも、俺が来たから、俺の記憶も加わっただろ?そうしたら、雪菜にとって、この家の意味が変わったんじゃないのか?」
確かにこの家には瀬川さんとの記憶しかなかった。でも、隼人さんが来て、こんな風にこの家のベッドに隼人さんがいるなんて、この家の意味は変わったと思う。
隼人さんが帰ってしまって一人になったら、いろいろ思い出してしまいそう。きっと隼人さんのことばかり考えてしまう。
「雪菜が瀬川を思い出すものは全て上書きしてしまいたい。過去があるから今の雪菜がいることはよくわかってるけど、やっぱり瀬川の存在は面白くない。雪菜を独り占めしたい」
隼人さんは本当に独占欲が強いのかも……。
「とっくに独り占めしてます」
「わかってる。だから、器の狭さに悶えてるんだよ。でも、カッコ悪いからもう気にしないようにする……」