嫌われ者に恋をしました

「雪菜……、やっぱり雪菜をこの家に一人で置いておくのは心配だよ」

「え?」

「瀬川はまた来るかもしれない。鍵は換えたけど、アイツ何するかわかんないだろ」

 雪菜も瀬川はまた来るような気がしていた。それに、以前よりもずっと強引で、少しおかしいと感じていた。

「うちに来てよ」

「……隼人さんの家に、ですか?」

「またこの間みたいなことがあったらと思うと心配なんだよ。離れていたら守れないから、そばにいてほしい」

 隼人は本当に心配そうな瞳をした。

「でも……」

「越して来いとまでは言わないよ。……本当はずっと一緒にいたいけど。でも、しばらくの間は俺のそばにいて。アイツが雪菜に手出しをする前に先手を打っておきたいんだ」

 いいんだろうか。隼人さんと一緒に住むなんて、それだけでドキドキする。しかも隼人さんは上司で、その上司の家から通勤するなんて。

 そんなことが会社に知れたら、隼人に何か不利なことがあるのではないか、と雪菜は不安になった。
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