嫌われ者に恋をしました

「……大丈夫なんでしょうか?」

「何が?」

「会社に知られたら、隼人さんの立場だと問題にならないんでしょうか?」

「大丈夫だよ、バレなければ」

「……」

 そんないい加減な感じで、本当に大丈夫なんだろうか。雪菜が不安な顔をしたから、隼人はフッと微笑んだ。

「俺のことは大丈夫だよ。だいたい、社内恋愛が禁止なわけでもないんだし。ただ、会社にバレると異動させられる可能性はあるから、極力バレないようにしよう」

「……はい」

 隼人はこっそりイタズラをしようとする子どもみたいな言い方をした。とても課長とは思えない。

 ここにいるのはそろばんを履いた悪ガキなのかもしれない。そう思ったらおかしくなって、つい笑ってしまった。

「なに笑ってんの?心配してるんだよ」

「ごめんなさい。バレなければいいなんて、隼人さんが悪ガキみたいだったから」

「人が心配してんのに、悪ガキ呼ばわりするなんて、……お仕置きだな」

「えっ?」
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