嫌われ者に恋をしました

 抵抗する間もなく、あっという間にキスをされて、夢中になった。

「声出しちゃダメだよ。他の男に声を聞かせるなんて、許さない」

 言葉が出なくて言わなかったが、このアパートは女性専用だから、男の人は住んでいない。本当は男の人を部屋に入れてもいけないことになっているが、それは誰も守っていない。

 それにお隣は新聞がたまっていたから留守だと思う。でも、下の人はいるかも。やっぱりご近所に声を聞かれるなんて恥ずかしい。我慢したいけど、……たぶん無理。

「……んっ」

 我慢できずに声が出てしまった。

「ダメだよ。そんなに我慢できないなんて、前は周りに声聞かせてたんじゃないの?」

 やっぱり瀬川さんのこと、気にしてる。気にしないわけがないと思った。

 隼人さんは特別だと伝えたい。こんなこと、言ってもいいのかわからないけどどうしよう。

 でもさっき、気持ちいいなんて言ってしまったから、もう何でも言える気がした。

「はっ、隼人さんだから……」

「……俺だから?」

 雪菜はコクコクとうなずいた。

「……隼人さんだから、我慢できないの……」

 隼人は目を大きく開いた。

「……そんなこと言われたら、たまらないっ」

 隼人は雪菜にキスをすると強く抱き締めた。
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