嫌われ者に恋をしました
雪菜の裸の写真でも持ってるってことかよ!カッとなって目を大きく開いた。
「どんな写真がいい?やっぱサイコーに恥ずかしいのがいいよね?」
瀬川は胸ポケットからスマホを取り出して画面を見ながら、ワォ!という顔をして見せた。
「お前っ!」
「お前のかわいい雪菜ちゃんが男たちの目に曝されるんだぜ?お前のせいで雪菜が辱しめを受けるなんて、雪菜は災難だなあ」
「ふざけんな!」
「ふざけてないよ。真面目に言ってんの。ただし、お前の態度次第では多少考慮してやってもいいんだぜ」
「どういう意味だよ」
「会社、辞めてくんない?目障りなんだよ、松田君」
「はあ?」
「お前が辞めたら写真は出さないよ。これってどう?いい提案でしょ?」
何なんだコイツ。雪菜と会社を天秤にかけさせたつもりか?くだらない。
でも、ちょっと待て。落ち着いて考えろ。
瀬川はマメなタイプじゃない。そして新し物好き。スマホで写真を撮ったとしても、写真のバックアップをとっているとは思えないし、1年以上同じスマホを使っているわけがない。
もしかして休み前に雪菜を襲ったのは、写真を撮るためだったんじゃないのか?そう考えれば、本当は写真をもっていない可能性も高い。
でも、クラウドに自動で写真がバックアップされていたらアウトか……。それに、ただ単に俺に対する嫌がらせのためだけに雪菜を襲った可能性もある。
何にしても、俺のせいで雪菜をあんな怖い目にあわせてしまったのか。