嫌われ者に恋をしました

「お前、根性腐ってんな」

「どう言われようと構わないよ。お前にダメージ与えられるならね」

「俺はダメージなんて食らわねーよ」

「つまり?それは?雪菜ちゃんを生け贄にしてもいいと?そういうこと?」

 瀬川はニヤニヤと隼人を睨みつけた。隼人はため息をついて少し間をおいた後、瀬川をじっと見据えた。

「お前が雪菜の写真を公開するつもりなら、その前にお前を警察に突き出すことになる」

「は?何言ってんの?」

「雪菜を襲っておいてただで済むと思うなよ。ああいうのはな、強姦未遂っていうんだよ。今は雪菜のお情けで被害届は出してねーけど、俺が言えば雪菜は被害届を出す。証拠もあるからな」

 念のための手持ちのカードだったのに、もうこのカードを切ることになるとは。

 あのコンビニの、似た者夫婦の息子エージはなかなか機械に詳しい男で、しかもやり込むタイプだった。映像をとっておきたかっただけなのに、映像をデータでくれただけでなく、わざわざ顔を判別できるように拡大した写真までくれた。

 持参した菓子よりよっぽど価値のある物をもらってしまった。

 連絡が来た時、雪菜には知らせず一人で取りに行った。そんな映像見たくないだろうし、雪菜はあんなことをされたのに、まだ瀬川に悪いという気持ちを持っている。でも、こんな鬼畜に情けは不要だ。
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