嫌われ者に恋をしました

「証拠?バカ言うな。ああいうのは合意の上って言うんだ。雪菜はまだ俺のことが忘れられないんだよ」

 瀬川はせせら笑った。

「逃げ込んだコンビニから引きずり出そうとするのが、合意だっていうのか?」

 隼人は胸ポケットから写真を取り出して指に挟むと、ピラッと瀬川に見せた。そこには逃げる雪菜の足を引きずる瀬川がハッキリと写っていた。

「……そんな写真、強姦未遂の証拠とは言えないね」

「強姦未遂だけで不満なら、暴行を加えてもいいんだぜ。なんなら今日、被害届を出してこようか。まあ、お前次第だな」

「……」

 瀬川の顔色が変わった。

 写真を見た時は、雪菜がどんなに怖い思いをしたのかを痛感して、はらわたが煮えくり返って、怒りをどこにぶつけたらいいのかわからなかった。

「瀬川、お前が持ってる雪菜の写真ってどんな写真なんだよ?俺は見せたんだから、お前のも見せろよ」

「……」

 瀬川は黙って睨んできた。やっぱり写真は持ってないな。

「見せてくれないのか?ケチだな。それとも、ハッタリか?」

「松田……、ただで済むと思うなよ」

「どうかな?ただで済むんじゃねーの?」

「なめんてんのか?」

「なめてるよ。お前は俺には勝てねーよ」

 隼人は冷えた瞳を瀬川に向けた。
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