嫌われ者に恋をしました
「松田、テメエいい気になってると痛い目見るぞ」
「変な噂でも流すのか?まあ、俺に少しでも不利なことがあったら、お前はすぐに終わりだけどな」
隼人が写真をピラピラさせると、瀬川は黙り込んだ。
黙ったままじっと睨み合った後、瀬川は苦虫を噛むつぶしたような顔をして煙草の火をぐりぐりと中途半端に消すと、大きな音を立てて出て行った。
……失敗したな。後々のことを考えたら、あそこまで挑発するべきじゃなかった。
早く雪菜の所に戻らないと……。俺へのあてつけで瀬川はまた雪菜を襲うかもしれない。
急いで課に戻ると、雪菜は待っていたように嬉しそうな顔をした後、少し首を傾げた。
「……どうしたんですか?」
「うん……」
隼人は雪菜の横にそっと立つと、できるだけ小声で話した。
「今日は家まで送る。送ってから出かけるよ。あと、社内でも一人でうろうろしないで」
雪菜は不思議そうな顔をした。
「……何かあったんですか?」
「あとで話す」
「……はい」
雪菜は困ったようにうなずいた。