嫌われ者に恋をしました
「雪菜……、瀬川に写真を撮られたことなんてある?」
「え?写真、ですか?」
隼人の言っている意味がわからず雪菜は首を傾げた。
「いや、撮られてないならいいんだ」
「は、はい……」
「雪菜は嫌かも知れないけど、場合によっては被害届を出してもらうかもしれない」
「この間のこと……、ですか?」
「うん。アイツの出方によっては、ね」
「……」
「やっぱり嫌?」
「いえ、出すべきであれば出します。……瀬川さんと何があったんですか?」
隼人は少し黙って考えてから口を開いた。
「瀬川はね、俺のことが嫌いなんだよ。瀬川は俺への嫌がらせで雪菜を襲ったんだ。……本当にごめん。俺のせいで雪菜に怖い思いをさせてしまって」
隼人は雪菜の髪を何度も撫でて、強く抱き締め直した。
「そんな……隼人さんのせいではありません」
「いや、俺のせいなんだ。しかも、大人げなく売られた喧嘩を買ってアイツのプライド、叩き潰しちゃったから。アイツまた雪菜を狙うかもしれない。雪菜のことを考えたら、あんなに挑発するべきじゃなかったのに……。ごめん」
雪菜は隼人をじっと見上げた。
「そんな……、謝らないでください。隼人さんは悪くありませんから」
「雪菜……」
隼人は雪菜を見つめてキスをすると、額をくっつけた。