嫌われ者に恋をしました
「どういうことですか?」
雪菜は展開がわからず小声で聞くと、隼人も小声で答えた。
「あの二人、付き合ってるんだよ」
「え?……エエッ!」
思わず大きな声が出てしまい、隼人にシーッとたしなめられてすぐに両手で口を押えた。
「結構前から付き合ってるよ。気がつかなかった?」
全然気がつかなかった。確かに綾香さんは綺麗だし大人の色気もあって、私とは違う世界の人だと思っていたけど。まさか、片倉課長と付き合っていたなんて。
「まあ、バレてしまったのはマズかったけど、お互い様だからね。片倉さんもバラしたりしないだろうし、井上さんもたぶん口は堅い方なんじゃないの?みんなに気が付かれないように片倉さんと付き合ってるくらいだから」
なるほど。それにしても、気がつかれてしまったというのに、どうしてそんなに落ち着いていられるんだろう。想定の範囲内?
「……落ち着いているんですね」
「まあね。それに、片倉さんはもっとずっと前から気がついていたっぽいしね」
「?」
隼人はフッと笑った。もっとずっと前?付き合い始めたのは最近だけど?雪菜が首を傾げると隼人はスッと課長の顔に戻った。
「仕事するよ」
「……はい」