嫌われ者に恋をしました
そんな切ない瞳のまま、わざと無邪気なことを言うなんて。
そんなの、やめてほしい。そんなことをされたら苦しくて辛くて、心が壊れてしまいそう。
あの人と瀬川さんが組んでいたなんて……。
そんなの考えもしなかった。隼人さんも瀬川さんもあの人も、みんな販売促進課で一緒だったんだ……。
瀬川さんなら私のことを知っている。私の親のことも、背中の痕のことも。それにあんなひどい言い方、瀬川さんならするかもしれない。
突然強い風が吹いて目の前を覆っていた霧が晴れたみたいに頭の中が整理されてきた。
もしかして、あの人の話は嘘だった……?隼人さん、本当にあの人と続いていないの?隼人さんの言うことが本当なの?
だとしたら、……そうだとしたら。
私、本当にひどいことを……。
「……本当に……?」
「本当!雪菜は美生に騙されたんだよ」
そんな……、本当に?
どうしよう……。
……ごめんなさい、ごめんなさい。また傷つけることを言ってしまった……。それなのに、そんな優しい瞳をされるとますます心が痛い。
「……ごめん、なさい」
「わかってくれた?」
「……ごめんなさい、……ごめんなさい」
隼人はわずかに切ない表情を残したまま、泣きながら謝る雪菜の頬に手を触れて微笑んだ。
「雪菜が謝ることじゃないよ。悪いのはアイツらなんだし。俺は雪菜が戻ってきてくれたら、それだけで十分なんだから」