嫌われ者に恋をしました

「雪菜は怒ると小動物みたいになるんだね」

 隼人が楽しそうに突拍子もないことを言い出したから、雪菜は困惑して小さくなった。

「……小動物、ですか?」

「うん、素早い小動物。ハムスターとかリスとか、すぐ逃げちゃうヤツ。思い出すとちょっと笑える」

 隼人はクスクスと笑った。

「そんな……、やめてください。本当にごめんなさい……」

「いいんだ。小動物な雪菜も、ここにいる雪菜も、テキパキ仕事をしてる雪菜も、どの雪菜も全部愛してる。いろんな雪菜が見たい。だからいいんだ」

 優しい瞳でそんな台詞を言われたら、一瞬で心を奪われる。やっぱりこの人を心の底から信じたい。

 私、この人に出会えて本当に良かった。この人に愛されて本当に良かった。嬉しくて嬉しくて、また涙が出てきた。

「もう泣かないで」

 そう言って隼人は雪菜にキスをした。
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