嫌われ者に恋をしました

「寝てた?……良かった。気を失ったのかと思った」

 隼人は心配そうに雪菜を見つめて頬に手をあてた。

 一瞬とはいえ寝てしまったせいか、頭が少しぼーっとする。

「……寝ちゃったのかも、です」

「無理をさせたかな、ごめん」

「隼人さんがいじわるをするから、いけないのです」

「だって俺、意地悪王子だからさ」

「……もしかして、その肩書き、気に入ってます?」

「まあね」

 そんな肩書きが気に入るなんて、なんだかおかしくてクスッと笑ったら、抱き締めてきた隼人もクスクスと笑った。
< 362 / 409 >

この作品をシェア

pagetop