嫌われ者に恋をしました
しばらくクスクスとじゃれてから、隼人は雪菜を腕の中にじっと見つめた。
「今回は、俺が雪菜にきちんと自分の状況を伝えていなかったからいけなかったんだ」
「……そんな」
「美生からどんなことを聞いたのか、教えてくれない?正しいことと間違っていることを整理しておきたい」
あの人のことを思い出すだけで気分が悪い。でも、隼人さんは今私のそばにいて抱き締めてくれているから、大丈夫。
……どこから話せばいいのかな。
「えっと……、まずは隼人さんとあの人が今でも続いているって」
「それは嘘」
隼人が間髪入れずに否定したから雪菜はフッと笑った。
「それから、隼人さんが東大出身で学閥で出世が早いって聞きました」
「それは間違いないね」
本当にそうなんだ……。妄想だけじゃなく、隼人さんは本当に身分違いの王子様なのかも。
「あとは、隼人さんは出世に妥協しない人で、偉い人の娘さんと結婚するから、その前に私は遊びで手を出しただけだって」
「それも嘘」
隼人はまた間髪入れずに否定したから、またおかしくて笑った。