嫌われ者に恋をしました
雪菜がぐるぐると考えていたら、隼人は雪菜の頭に手を置いた。
「大丈夫だよ。まだ時間はあるし、家では一緒にいられるんだし。まあ、そんなわけだから、会社では今まで通りわからないように過ごすけど、バレても別に構わないと思ってる」
「……そうですか」
本当にいいのかな。でも、片倉課長にも知られてしまったし。……バレてもいいなんて、公にしていいみたいに言われると、やっぱり嬉しい。
嬉しくて胸に頬をすり寄せた時、インターホンが鳴って、ビクッとして顔を見合わせた。
「放っておこう」
「え?……でも」
隼人は面倒くさそうに目をこすった。
「うーん……、じゃあ見てくる」
隼人は服を着ると部屋を出て行った。なんか嫌な予感がする。もしかして、あの人?
雪菜が急いで服を着ていたら、隼人が部屋に顔を出した。
「美生だったよ。しつこいから、下まで行って追い返してくる」
やっぱり!どうして嫌な予感って当たるんだろう。
「待ってください。私も行きます」
隼人は首を傾げた。
「でも、あいつに会うの嫌だろ?」
「いいんです」
「もしかして、まだ疑ってる?」
「違います。そうじゃないんですけど、なんか心配で……」
本当に疑ってはいなかった。それよりも美生が変な嘘をつきそうで、それが心配だった。
一緒に下に降りると、エントランスの外でイライラしながら腕を組んで立っている美生の姿が見えた。