嫌われ者に恋をしました

 自動ドアを出た途端、美生は隼人に食ってかかった。

「どうして入れてくれないのよ!だいたい、なんでその子がいるのよ!」

「お前とはもう関わりたくない。帰ってくれ」

 美生は雪菜をジロリと睨みつけた。

「あなた、瀬川さんとよりを戻したくせに、隼人と二股かけてるの?」

「そ、そんなことありませんっ!」

 やっぱり嘘をついた!この人、凄いな……。こんなに平気で嘘がつけるなんて。

「猫かぶっておとなしいふりしちゃって、嫌な子。隼人、あなた騙されてるわよ」

「お前の嘘にはうんざりだよ」

「嘘じゃないわよ!この子、あなたの知らないところで瀬川さんに抱かれてるのよ。どうせ、ろくでもない家で育ったんでしょ?親が親だから、そんな淫乱になったんじゃないの?」

 相変わらずひどいことを言う人……。

「美生っ!これ以上雪菜を傷つけるな!」

 隼人が美生に掴みかかろうとしたから、驚いて雪菜は前に出て隼人を止めた。

「ダメです!やめてくださいっ!」

 隼人は雪菜を見て驚いた表情をした後、苦しげな瞳をした。それから、前に出た雪菜をそのまま抱き締めた。

「あっ……」

 勢いよく抱き締めた力が強くて、呻き声が漏れる。

「ちょっと!……何やってるの!」

「愛してるから抱き締めてる」

「!」

 雪菜は驚いてもがいたが、強く抱き締められていて動けなかった。

 美生のヒールの音がコツッと響いた。でも、後ろにいる美生の様子は雪菜からは全然わからない。
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