嫌われ者に恋をしました

「どうして私なんですか?」

「え?」

「どうして私なんか……。美生さんみたいに綺麗じゃないし、スタイルも良くないし、言いたいこともうまく言えないのに」

 隼人は雪菜をしげしげと見つめた。あんまり見つめるから、雪菜は少し困ってうつむいた。

「どうしてって言われると困るんだけどね、いつの間にか惹かれてた。たぶん、階段で見かけた時からずっと気になってたんだよ。
 一緒に働くようになったらもっと惹かれて、付き合うようになっていろんな雪菜を見たら、もっともっと好きになった。まあ、そんなところかな。……で?雪菜はどうして俺なの?」

「え?」

 そう聞かれると、確かに困るかも。

「……なんとなく、です」

「なんとなく、ねえ」

 理由をあげればいろいろあるけど。優しいとか、かっこいいとか、私をわかろうとしてくれるとか。でも、最初にどうして惹かれたのか思い出せない。いつの間にか惹かれていた。

 でも、……そういえば一つ、惹かれた理由があったかも。

「笑顔が」

「ん?」

「笑顔が素敵だったから、かもしれません」

 隼人はフッと笑った。

「俺も雪菜の笑顔に惹かれたよ。笑顔が見たくてたまらなかった」

 雪菜が見上げると隼人は優しい瞳で雪菜を見ていた。目が合って二人で笑った。この瞬間がたまらなく幸せ。嬉しくてぎゅうっと抱きついた。
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