嫌われ者に恋をしました
雪菜が監査課に来て2回目の監査も総務課と合同で、柴崎が調整して美乃里も来られることになった。隼人が総務課から美乃里が来ることを雪菜に伝えると、少しだけ雪菜の瞳に安堵の色が浮かんだように見えた。
それまで雪菜の瞳には全く変化がなかったから、また瞳に感情を浮かべた雪菜を見て、隼人は嬉しさと同時にわずかに胸の痛みを覚えた。上司として甘すぎるだろうか。
監査当日、待ち合わせ場所に来た美乃里を見て、やっぱり雪菜は穏やかな雰囲気をみせて、隼人を密かに喜ばせた。
例のナビなし社用車に4人で乗り込み、前回と同じように出発した。違うのは助手席に柴崎が乗って、後ろに雪菜と美乃里がいることくらい。別に隣が柴崎でも文句は言わないけど。
前回と同じように柴崎は煙草を吸いたがり、今度は美乃里に怒られた。
後ろの席で美乃里と話す雪菜は、表情は変わらないが隼人には楽しそうに見えた。その様子を何度もバックミラー越しにチラチラ見ていたら目があってしまい、隼人は急いで視線をそらした。