嫌われ者に恋をしました
部屋に戻ると布団が二つ並べて敷いてあったから、それを見た雪菜はまた赤くなった。本当にいつまでたっても初々しい。それがまた、たまらないんだが。
二つ敷いてもらっても、どうせ布団なんて一つしか使わない。
もともと浴衣姿にのぼせていたが、自分で脱がせておきながら、はだけた浴衣姿が艶めかしくて、ひどく煽られてしまった。
布団とか浴衣なんて、いつもとちょっと違うだけなのにこんなに燃えてしまうなんて、俺も単純にできている。
お互いに与え、与えられる快楽を共有する幸せ。お互いに愛し愛される幸せ。もう、雪菜以外は考えられない。
かわいい雪菜。心も体も全て一生離さない。
雪菜が育った街を見て、雪菜を育てた母親を知って、今の雪菜を形作っているものを全て知りたかった。でも、全てを知ることなんかできない。
叩かれて育った雪菜の気持ちを、叩かれたことのない俺は完全に理解することはできない。お互いに違う環境で育って、違う道を歩いてきた違う人間。
でも、だからこそ愛し合える。全てを理解できないからこそ理解しようと努力をするし、違うからこそ、そばにいたいと願い、愛おしいと思う。
過去も含めて雪菜の全てを愛してる。その過去を雪菜が少しでも肯定的に捉えられたなら、ここに来た甲斐があったと言えるだろう。