嫌われ者に恋をしました
(5)リベンジ
最初の2回は大きな営業所の監査だったが、あとしばらくは小さな営業所の予定で、監査は2人きりで行くことになっていた。
隼人はため息をついた。正直、気が重い。あれから雪菜は相変わらず無表情で、粛々と仕事をこなしていた。あの笑顔は幻だったんだろうか。
「失礼しまーす」
鬱々と考えていたら、美乃里がひょっこり顔を出した。
「あれ?小泉さんは?」
「今、資料を取りに行ってる」
「あ、そうですか。じゃあまた後で来ます」
美乃里が帰ろうとしたから、隼人は呼び止めた。
「笠井さん、ちょっといい?」
「はい?」
「聞きたいことがあるんだけど」
「はあ……」
美乃里はいぶかしげな顔をした。