嫌われ者に恋をしました
「雪菜はほとんど何も話しませんよ。特に自分のことなんて、全然」
「よくそんなのと友達やってられるな」
「放っておけないんですよ、あたし。雪菜って最初に会った時から、構わないでほしいオーラ出しまくってて。でも、そういうのを見ると、ますます構いたくなっちゃうんですよね」
この手のタイプの女子って、クラスに一人はいたな。お節介なタイプ。こういう子じゃないと彼女と友達にはならないだろう。彼女は他の子たちと一緒にスイーツだの、洋服だの、男の話をする感じでもない。
「確かに、放っておいてほしい感じだな。男の話なんて、絶対にしなそうだし」
「えっ?あっれー?課長、それが知りたいんですか?」
「そうじゃない。例えばの話」
隼人が失敗したと思いながら憮然として答えると、美乃里は「ふーん」と言いながらイタズラっぽくニヤリとした。これはあまりよろしくないな。
美乃里は雪菜の席にドスッと座ると、隼人をじっと見た。
「今、雪菜が付き合ってるのはー……」
隼人はそう聞いて目をそらしたものの、瞳が揺れるのを抑えることができなかった。