嫌われ者に恋をしました
「……」
「……」
「……?」
「気になります?」
「別に」
「じゃあ、教えません」
「いいよ」
「……意地っ張りだなー」
「興味ないから」
美乃里はまた「ふーん」と言うと、ガタッと勢いよく席を立った。
「……本当は私も知りません」
「え?」
隼人が見上げると、美乃里は少し寂しげな顔をした。
「雪菜、誰と付き合ってるとかそういうの全然教えてくれないから、知らないんですよ。もしかしたら付き合ってる人なんて、ずっといないのかもしれないし」
「そう、なんだ」
確かに瀬川のことは、相手がたとえ友達でも話せなかっただろう。
「でも、松田課長は雪菜の話に出てきたから、有望株ですよ。自信を持ってアタックしてくださいっ!」
「だから、違うって」
美乃里がからかって「へっへっへ」と笑ったところに雪菜が戻って来た。