嫌われ者に恋をしました
「あれ、ミノリちゃん?」
「お、雪菜!ね、ね、ちょっと用があってさ」
資料を机に置いた雪菜を連れて、美乃里は廊下に出ていった。あいつ、余計なこと言わないだろうな。口止めしておくべきだった。いや、口止めなんかしてもあいつ絶対に言うな。もういいや、別に。
でも、戻って来た雪菜は特に表情を変えることもなく、また淡々と仕事を続けていた。
笠井さんの言う通り、少しでも可能性があるなら、また誘ってみようか。……でも、笠井さんは彼女を泣かせてしまったことまでは知らなそうだった。
どうする?でも、やっぱりもう一度あの笑顔が見たい。俺にあの笑顔を向けてほしい。
迷っていないで、まずはこの間のことを謝るべきだ。
そして、今度の監査が終わったら、もう一度誘ってみよう。
断られたら、それはそれで仕方がない。