嫌われ者に恋をしました

 会社に着いて車を返すと、一度資料を置きに机に戻った。資料を整理すると、雪菜はバッグを手に立ち上がった。

「お疲れさまでした。お先に失礼します」

 雪菜が帰ろうとしたから、隼人は急いで声をかけた。

「あのさ」

「はい」

「これから少し、時間ある?」

「え……?」

「小泉……、あのさ。この間はごめん。あんなことを言って本当に悪かった」

「……えっと、いえ。もういいんです。私の方こそ、すみませんでした」

「いや。だから、その、お詫びと言ってはなんだけど、……もしよかったら、これから食事に行かないか?」

 雪菜は困惑しているようだった。隼人は、前みたいに「嫌ならいいけど」などという台詞は言えなかった。そんなことを言ったら逃げられてしまいそうで怖かった。
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