嫌われ者に恋をしました
雪菜は困っているようだったが、とりあえず断られなくて隼人は安堵していた。断られたらまたチャレンジすればいいさ、と自分に言い聞かせつつ誘ったが、断られたらきっとしばらく立ち直れなかった。
つい嬉しくなって微笑みかけたら、雪菜が白い頬をほんのり赤く染めたから、目が釘付けになった。あまりに可愛くて、自分の中で何かが弾けた気がした。
何度笑いかけても同じ反応をするから、嬉しくなってバカみたいに微笑みかけて、たくさん話しかけてしまった。
「いつも弁当を持ってきてるの?」
「……はい」
「弁当は自分で作ってるの?」
「はい」
「料理が好きなのかな?」
「まあ、それなりに」
こちらの問いかけに対して、いつもの低めに抑えた声で短く答えるだけ。でも、雪菜のことを少しでも知りたくて、問いかけるのをやめることができなかった。
「一人暮らし?」
「……はい」
「じゃあ、お盆は実家に帰るのかな?」
そこまで聞いた時、「いえ、実家はありませんので」と言われて少し驚いた。