嫌われ者に恋をしました
「ミノリちゃん、ずいぶん焼けたね」
美乃里は夏の子どもみたいに焼けていた。色の白い雪菜のそばにいると、ますますその黒さが目立つ。
「うん。最近休みの日は海ばっかり行ってたからね」
「彼と?」
「もちろん」
美乃里には美乃里にそっくりな豪快な彼氏がいて、暇があれば二人で海に行って波乗りをしているらしい。二人とも体育会系で、二人が揃うと圧倒されてしまって、雪菜はいつも意識が遠くなる。
「美乃里ちゃんって彼といつから付き合ってるんだっけ」
「ん?3年前?かな」
「もう長いね」
「まあ、そだね。それなりにね」
「そっか……」
雪菜のわずかな変化に気がついて、美乃里はニヤッと笑った。
「なあに?恋の悩み、とか?」
「そ、そんなんじゃないよ、そうじゃないんだけど……」
「松田課長に誘われた?」
「ええっ?」
雪菜は驚いて大きな声を出してしまった。