嫌われ者に恋をしました

「やっぱり!誘われたんだ?」

「えっと、誘われたっていうか、なんて言うのかな」

「うんうん」

「実は……、監査があった日は必ず食事に誘われて、この二ヶ月間、何度も食事に行ってるんだ」

「ほおー」

「それって、どうなんだろうと思って」

「どうなんだろうって?」

「なんて言うか、それって上司としてよくあることなのかなと思って」

「はあ!?何言ってんの?」

 美乃里は眉間にしわを寄せて、でかい声を出した。

「雪菜!あんた27にもなって、何言ってんのよ!奥手なの?箱入りなの?誰とも付き合ったことないの?」

「そんなことはないけど……」

 美乃里はわざと大きく肩でため息をついてみせた。

「そんなの上司として、なわけないじゃん!」

「そうかな?」

「そうだよ!」

 美乃里はフッと微笑んだ。
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